電車の中でのお化粧は?

2003/12/09 津曲 公二

さいきん、電車の中でお化粧をしている若い女性を見かける。「パタパタお化粧、ほとほと迷惑」というマナー広告もあったくらいだから、いまや都心の交通機関を席巻している新現象のようである。人前でお化粧をするのは、小生などの感覚では多少の抵抗はあるはずと思うのだが、せっせと作業に専念されているようなので案外そうでもないらしい。
通勤・通学など出かける前は誰でも忙しい。その貴重な時間を使ってお化粧するよりは、移動の時間を有効に使ったほうがよいというのが「パタパタ嬢」の結論のようだ。ここでは、「化粧は人前ではしないもの」という「常識」はかんたんに捨てられている。

さて、TOCを使ったプロジェクト・マネジメントでは、計画段階でのネットワーク作成をたいへん重視している。計画段階でいかに作業のヌケやモレを防止するかという観点からだけでなく、プロジェクトの所要期間を大幅に短縮するという観点からも作業の依存関係の確認は欠かせないからである。その作業は先行作業として「必須(Must Have)」であるのか、あるいは「なくてもよい(Nice to Have)」のか、吟味を重ねる。「なくてもよい」とは仕様・装備から削除するという意味ではなく、必ずしもこの時期である必要はないという意味で
ある。後でもよいということになれば他の作業と同時にすすめるなど所要期間を短縮できる可能性が出てくる。
前述のパタパタ嬢も、お化粧そのものがなくてもよい作業とは思っていない。ただし、出かける前の自宅での忙しい時期に必須だとは考えず、移動の時間に同時進行できる作業だとするのである。こうすれば、「出かける前の自宅での支度時間の短縮」はみごとに達成されることになる。

パタパタ嬢の良いところは、目的達成のためには既成の常識を何の苦もなく捨て去ることができることであ
る。
本欄(2003/12/2)で、当社の酒井が「製造業の思い込み、その1」と題して、整いすぎた製品化プロセスが新しい着眼点発想への阻害要因のひとつになっているのではないだろうかと述べた。既成の製品化プロセスを、前述のようなやり方で見直しをされることは「製品開発の期間短縮」を達成するための、ひとつの大きなヒントになるのではないだろうか。