製造業の思い込み その1

2003/12/02 酒井 昌昭

日本経済を牽引してきた製造業(特に電子機器業界)に失速感、閉塞感が漂う。

極端な製品の短ライフサイクル化、顧客要求の多様化に上乗せして中国を中心とした労働コスト攻勢と価値観の大きな変革が主要因である。

もうひとつの隠れた要因として、過去の知恵の蓄積による「思い込み」があるというのが筆者の私見である。

整いすぎた「製品化プロセス」が新しい着眼点発想への阻害要因のひとつになっているのでは無いだろうか?

20世紀後半に先人の知識と経験を基に作られた業務プロセス(製品化プロセス)は今の時代にマッチしているのか?

製品化に対する業務の「プロセス自体」は不変であるのは筆者も同感であるが、テンプレートとして使うのではなく、丸写し若しくは若干のスケーリング、スライディングレベルで止まってしまっているというのが自分の経験を含めた実感である。

プロジェクト・マネジメントでは作業の依存関係の作成(ネットワーキング)を推奨しているが、殆どのプロジェクトでは実施されていない。しっかりしたテンプレートが、返って邪魔をしていると考えられる。

これを打破して新しいパラダイムを築くには、①商品化プロジェクトがPMの対象である事をしっかり認識する事。②既存の業務プロセスをテンプレートとして活用しながら、プロジェクトに特有な特殊性(毎回違う)事を認識し、依存関係まで踏み込んだネットワーキングのPMの手法を活用する事が肝要である。その時に活用すべきPM手法(ツール)としてはCPMでも良いが、例えばプロジェクトの期間短縮、複数プロジェクトのコントロール、プロジェクトのゆらぎのコントロールといった、達成目標が具体的・明確な場合は「TOC-PM」が最適である。

「TOC-PM(クリティカル・チェーン)」法では作業のみでなく、リソースの依存関係まで含めたネットワーキングと、人間の行動特性やプロジェクトの特性までも加味して実行可能でゆるぎ無い計画と遂行が可能になるからである。

そこに早く気が付き実行した企業こそが、頭一つ抜きん出る勝組になるのではないだろうか。