職業としてのプロジェクト(その8)

2009/03/13 中嶋 秀隆

運をつかむ
プロジェクトを必ず成功させる方法がひとつある。それは、決して失敗しないプロジェクトだけを選んで引き受けることだ。こんなジョークがあるが、現実には、なかなかそうもいかない。プロジェクト・マネジャーに指名されて、ラッキーと感じる時もあれば、そうでない時もある。私がかかわった、マイクロプロセッサー“ペンティアム”の量産立ち上げでも、得意な交渉分野では順調に仕事が進み、成果もあがり、ツイてると感じた。しかし、製造装置メーカーを巻き込んだスペアパーツの管理システム構築では、壁にぶち当たり、辛酸をなめ、ツイてないと感じた記憶がある。
ここでは、ツキと運の正体と、運の強い人の特徴に焦点を当てよう。プロジェクト・マネジャーはプロジェクトのスキルを駆使するとともに、ツキを味方にする必要があるからだ。

ツキと運
誰にでもツイていると感じる時があり、ツイていないと感じる時がある。通勤途上で偶然いいことに遭遇した人が「今日はツイている」と微笑
み、サッカーのシュートを惜しくも外した少年少女が「今日はツイてない」とつぶやく。ツキは一種の波であり、アップダウンがある。いいこととよくないことは、一見すると、なんの脈絡も順番もなくやってくる。そして繰り返す。