人芯経営論 ・・・情報の危うさ

2009/10/15 浅見 淳一

3回にわたって、人の心理を計算したマーケティング手法や、自己分析について書きました。時に、マーケティング手法は、人の心理を操作して、都合の良い方向に向かわせるという面もあります。高度情報化社会の中、膨大な情報が毎日発信されています。情報発信は人が行うものです。人の行動には、自然現象とは違い必ず何らかの意図があります。情報を表面的にとらえるのではなく、その情報を発信している人達は、誰で、何を目的として、発信しているのかを考える必要も情報の受けてとしてはあります。伝えられた情報が全て正しいと盲目的に信じることは危険ではないでしょうか。

支配する為の3要素一年前の話題にさかのぼりますが、リーマン・ブラザーズの破綻の時に、一部マスコミやネットに「シオン議定書」の話題が取り上げられていました。詳細な内容も真偽も良く分かりませんが、確か人をコントロールし支配する方法だったと記憶しています(別の出展かも知れません)。現在でも、全体主義的な国家では、行われている手法だと思い記憶に残りました。情報で人をコントロールすることも含んでいたと思います。

(1)貧困・・
人々を意識的に貧しくし、生活の余裕を与えないようにする。借金をすすめ、借金を返すために働くように仕向ける。人を管理しないでも済む奴隷状態にする。妬みや嫉妬や排他的で自己中心的な心情を助長する。
お金(欲望)で支配する手法。

(2)無知・・
正しい情報を与えず、管理する為に都合の良い情報だけを与え、それだけを信じるように仕向ける。疑問を持つ。考える。ということを排除する。与えた情報に対しては、無批判に信じて集団として行動するように訓練する。
情報(教育)で支配する手法。

(3)監視・・
常に見張られている状態を作り出す。何かあれば社会的に排除されるように仕向ける。暴力で身の危険を感じたりすることもある。強いストレスに何時でもさらされている状態にする。猜疑心の強い殺伐とした社会。
権力(:恐怖)で支配する手法。

以上が、ムチだとすると、アメは、3S、(SportScreenSex)になります。人の関心と興味を別のことに向けさせるために3Sを盛んにします。古代ローマでは、人々の欲望を満足させる為に、コロッセオでの競技や演劇や宴会が盛んだったということを聞きます。

マトリックスの世界映画のマトリックスでは、多くの人が眠らされ、コンピューターと繋がりデータとして、意識の中に送られた映像を、実社会と認識して暮らしいている人々が出ていました。本当の現実の社会は、戦争で荒れ果てた荒涼とした世界で、仮想社会から目覚めた後に、現実逃避して、元の仮想社会に戻りたがっている人もいました。脳科学的には、認識されている世界が、現実の世界になります。情報が氾濫している現代は、何が本当のことで、何が違うことなのか、見分けがつきにくい社会になっています。

真実への取り組み
情報も手品のように、真実が隠され別のものが目立つように表に出されることがあります。しかし手品には、必ず種があります。トリックが分からないうちは、手品は魔法のようにみえますが、種が分かってしまえば、不思議でも何でもなくなります。コンサルタントの船井幸雄氏は、よく「百匹の猿」の話をされます。簡単にご紹介すると、ある島の猿が、初めて泥のついた芋を洗って食べるようになり、それを島の中の他の猿もまねるようになり、島の多くの猿が洗うようになったある時に、遠く離れた交流ができない島の猿も、真似をして、芋を洗って食べるようになった。という話です。心理学者のユングが提唱した、集合的(潜在意識)無意識の理論は、個人の意識は個人を超越して深いところで全体として繋がっている。というものです。百匹の猿も論理的には同じだと考えています。ですから、世の中を良い方向に変えていくには、一人ひとりが、真実を探しだし、多くの人が共通の願いを持つことから始まると信じています。