人芯経営論 ・・・教育の目的 2

2011/01/16 浅見 淳一

あっという間に2011年も1月の半分が過ぎました。毎年、新しい年の新しいスタートは気持ちがあらたまります。今年もいろいろなことを学び成長していきたいと願っています。人は毎年さまざまな経験を、洋服のように重ね着していくようなものなのかもしれません。私は、ブランドの物のきらびやかな洋服や、ポロボロの汚れた洋服ではなく、シンプルで清潔な白いコットンのシャツを着ていきたいと考えています。
前にテレビであるタレントの司会者が自分の子供に「なんで勉強しなければいけないの」と聞かれた時に「君の将来の選択肢や可能性を広げるため」と答えたといっていました。それは教育の目的というよりも利点(メリット)を説明しています。

12の徳目
1. 親に孝養をつくしましょう(孝行)
2. 兄弟・姉妹は仲良くしましょう(友愛)
3. 夫婦はいつも仲むつまじくしましょう(夫婦の和)
4. 友だちはお互いに信じあって付き合いましょう(朋友の信)
5. 自分の言動をつつしみましょう(謙遜)
6. 広く全ての人に愛の手をさしのべましょう(博愛)
7. 勉学に励み職業を身につけましょう(修業習学)
8. 知識を養い才能を伸ばしましょう(知能啓発)
9. 人格の向上につとめましょう(徳器成就)
10. 広く世の人々や社会のためになる仕事に励みましょう(公益世務)
11. 法律や規則を守り社会の秩序に従いましょう(遵法)
12. 正しい勇気をもって国のため真心を尽くしましょう(義勇)

上記はネットのWIKIBOOKSに書かれていた教育勅語の12の徳目です。原文は私には難しいですが、これなら私にも理解できます。当たり前のことかもしれませんが、簡単なことではありません。昔はこの徳目を育てることが教育の目的だと考えられていたと思います。今、教育勅語が見直されているようです。教育勅語は、時の枢密顧問官の井上毅氏が日本の将来を考えて、心血を注ぎ、命を削って作成したものだと聞いています。

政界の多くの人も指導してきた中村天風氏の著書「運命を拓く」の中にインドでの修行中に、師の「我いずこより来たり、いずこに行かんとす」との問いに「人は宇宙の進化と向上に寄与するために生まれてきました。個人的には様々なことを学び、魂のレベルを上げていくためです。肉体を得て地上で人生を送るのは、そこに目的があり、人生は魂の学校です」と答えています。知識だけでは枝葉末節で、知識ばかりを豊かにしたところで、人間性が置き去りにされたままでは意味がないと言っています。「常識のない教育より、教育のない常識の方が、何千倍もよい」の格言もあります。

孔子の話をまとめた「論語」では、八つの徳目「仁(思いやり)」「義(正義)」「礼(礼節)」「智(知恵)」「忠(まごころ)」「信(信頼)」「孝(親孝行)」「悌(長幼の序)」を身につけることが学習の目的とされています。知識は、八つの徳目の智のうちのほんの一部です。近年、中国でも論語が見直されており、論語を学ぶための学校を作っています。年末は孔子賞がニースになっていました。
ドラッカーは、日本における尊敬する経営者として「渋沢栄一」と「岩崎弥太郎」を上げていたと記憶しています。二人とも明治維新後に、日本が近代国家となる礎の多くの企業を作りました。その渋沢栄一は「論語とそろばん(算盤)」の著書を書くほど論語を勉強し、会社経営の指針としていました。企業の社内研修で「人間教育」や「日本の歴史」に取り組み、論語を素読している企業もあります。

<余談1>
私の友人にフィリピンのゴミの山に住む人々を支援している人がいます。話を聞くだけでも想像を絶しています。そこでは多くの子供たちが、幼くして命を失うような環境です。子供たちに「あなたの夢は」と尋ねると「15歳まで生きていたい」と答える子がいたそうです。人の可能性は無限だと信じていますが、その場にいてもそう思えるか自信はありません。
http://www.basurafoundation.org/

新しい年の始まりです。せめて「世界中の子供たちが笑顔で暮らせる世界」がくることを祈りたいと思います。道を歩いていると、ゴミが落ちています。もし誰も道にゴミを道に捨てなければ、もしゴミが落ちていたら皆が拾えば、すべての道は綺麗になるはずです。世界中の人が、平和な世界を心から願えば、平和な世界が実現するはずです。世界中のすべての人が貧困をなくそうと思えば、すべての人が豊かに暮らせる世界が実現できると信じています。

<余談2>
元旦の映画の日は「武士の家計簿」を見ました。少し前には「桜田門外の変」を見ました。両方の映画を見て、昔の日本人の立ち振る舞い、所作が綺麗だと感じました。習慣やしつけの影響もあるのでしょうが、人の動きは心の動きです。心が凛としていたせい、心のありようが美しかったからだと思っています。自分の心を見つめ直したいと考えています。

映画は面白かったです。私は営業部門や企画部門などを経験してきました。会社では表に出るところが注目されがちですが、経理や総務などの目立たない部門の人達がしっかり仕事をしてくれているから、事業が成り立っていたのだと振り返って反省しています。
「入るを量りて、以って出ずるを為す」は、今の日本に一番大切な姿勢ではないでしょうか。少し前の本ですが、私の友人もかかわった大前研一氏の「質問する力」にも、日本の財政のことについても分かりやすく述べられています。

マスコミは、暗いニースを一生懸命流していますが、私は日本が豊かで素晴らしい国、世界は少しずつではあっても素晴らしい世界に向かっていると信じています。「自分が変われば世界が変わる」と言われています。自分は努力次第で良い方向に行けるはずです。お正月にサミュエル・スマイルズの「自助論」を読みました。明治時代には福沢諭吉の「学問のすすめ」とともに広く読まれていたようです。「天は自ら助くる者を助く」はこの本の最初に書かれている言葉です。