修羅場を持ちこたえる条件:その3:自信・自尊心・自己イメージ

2010/12/17 中嶋 秀隆

思わぬ困難や逆境に直面した人がその修羅場を乗り切る力を「心の復元力」といい、それは、1)健康、2)問題解決、3)自信・自尊心・自己イメージ、4)開かれた心、学習、5)セレンディピティの5つからなる。今回は3)自信・自尊心・自己イメージを取り上げよう。

ひとつ目の「自信」は行動に現れる。プレッシャーがかかる状況でどう行動するかだ。自分で物事を決定し、実行し、成功を享受してきた人は自信が強い。

自信を強化するには、「自分がもつ能力と強みは何か?」「自分は何を得意とするか?」という2つの問いへの答えをたくさん書き出すとよい。さて、あなたの答えはどんなものだろう?

次の「自尊心」とは、自分のことをどう感じているかである。自尊心の高い人は、簡単に傷つくことがない。たとえ悪性の批判にさらされても、自尊人がしっかりしていれば、それによって自分を守り、傷つくことがない。ちょうど「厚い毛布」を身にまとっているようなものだ。

自尊心を強化するには、自分について気に入っているところや好きなところをどんどん書き出すのが有効である。あなたはご自分のどこが気に入っているだろう?

自分について気に入っているところや好きなところのリストができたら、親しい友人に読み上げて聞いてもらおう。そして、友人が賛同してくれたら率直に「ありがとう」と答えよう。自分を過度に卑下するのはよろしくない。

「自己イメージ」は、自分は何者なのか、どんな人間と考えるかである。あなたはどんな自己イメージをもっているだろう?

自己イメージを強化するには、「私は〇〇である」という文章をいくつも作るとよい。思いっきり積極的に、10個以上書き出そう。実は、その中にぜひ含めてほしい文章が2つある。「私はプロである」と「私は心の復元力が高い人間である」だ。現代社会では「プロである」という自己イメージが重要だ。変化の激しい現代では、新たな状況に直面する場面が少なくない。そこでは、柔軟に対応したり、新方式を発見したりすることが求められ、プロ意識が肩書きより物を言うことになる。さらに、肩書きは変わるのが常である。

上に述べた3つの自己――自信・自尊心・自己イメージ――は、逆境に向き合い立ち直るたびに強化されす。そして、それに伴って、〔心の復元力〕が高まるここで1つ、幼少期に「よい子」として育った人にお願いしたい。幼少期によい子として育った人は、「口答えするな」「文句を言うな」「行儀よくしろ」など、親や年長者の言葉を聞きながら育っている。しかし、それを鵜呑みにし、過剰に適用すると、困ったことになる。45歳の大人が5歳の子どものように行動することになるからだ。45歳の今と、5歳の時とでは、取り巻く環境が大きく違うにもかかわらずだ。その意味で、課題について、自分の頭で考え、自分の責任で選択することが重要である。