プレゼンテーションのコツ その23

2012/04/27 村松 かすみ

第23回目は、
『リフレーミングでポジティブな印象を植え付ける』についてご紹介します。
リフレーミングというのは、NLP理論の中の1つです。

NLPとは Neuro Linguistic Programming の略で、日本語では神経言語プログラミングと呼ばれています。1970 年代に、当時カリフォルニア大学サンタクルーズ校の言語学の教員であったジョン・グリンダー博士と同大学の心理学科の学生であったリチャード・バンドラー博士が卓越した 3 名の心理療法家を研究しました。どのようにして彼らはクライアントを治療し高い効果を上げることができたのか?学術的な面だけではなく、3 名の共通する行動やコミュニケーションのパターンなどを誰もが使えるよう体系づけたものがNLPです。

リフレーミングは、物事のとらえ方や考え方の枠組み(フレーム)を変えて表現することです。相手に好意的に受け止めてもらえるような言葉(ポジティブ・リフレーミング)を選択しましょう。

例えば、相田みつをさんの詩で、『七転八倒 』という詩があります。

つまづいたり ころんだり するほうが
自然なんだな にんげんだもの

「七転八倒」という言葉を辞書で調べると、「ころげまわって苦しみもだえるもの」と書いてあります。このままの意味で受け止めると、喜ばしいといったものでなく、どちらかというとネガティブな印象になります。ところが、この詩を読むと、少しホッとしたり、肩の力が抜ける感じをおぼえます。ネガティブな印象の言葉も、枠組みを変えることによって、まったく違う見え方を表出させることができるということです。

もうひとつ代表的な例として、「コップ半分の水」の話があります。
コップに入った半分の水を見て、

反応①:「コップに半分しか(・・)水が入ってない」
反応②:「コップに半分も(・)水が入っている」

どちらに焦点をあてるかによって印象が違います。

ここでは、どちらが正しい?どのような状況での判断?という議論をしたいのではありません。プレゼンでは、リフレーミングを活用することで、「前向きに」「ポジティブ」「効果のある」印象を与える演出をしましょう。言葉遊びのような感覚で、下記のサンプルでリフレーミングを練習してみましょう。表の中は、あくまでも例です。ポジティブ・リフレーミングがうまくいったかどうかの判断基準は、あなたが投げかけた言葉に対して、相手がどのような反応をしたのかで決まります。相手をよく観察してください。これは、大勢を対手にするプレゼンだけでなく、1対1でのコミュニケーションでも活用できます。日頃の何気ない会話でも言葉を大切にしてみましょう。あなたの柔軟な思考力を養うことにもつながります。