ABUロボコンを見て

2011/06/02 中西 全二

以前に撮りためていた「ABUロボコン世界大会」を見た。中国代表の大学が圧倒的な強さ(品質の高さ)で優勝していたが、印象に残ったことをいくつか述べたい。

<1>中国代表の大学のロボット製作現場(工場?)には、山積みになったガラクタの山があった。彼ら曰く、失敗作品の数々であり、部品のスペアとして活用するとのことであった。「良いアイデアがひらめいたら、まず試作品を作って動かしてみれば、いろいろなことがわかる。」ともコメントしていた。

【私の気づき・学び】
中国チームの完成品のロボットは、群を抜くレベルの出来であったが、努力の賜物でもあった点がなぜか嬉しかった。ちなみに製作現場は昭和時代の町工場のような状態であった。日本チームの製作現場は、平成時代のメーカーの工場のように最新設備が並んでいた。

<2>世界大会では、何試合も勝ち抜き、優勝が決まるが、中国チームは、試合後に毎回、ロボットをばらばらに分解し、点検し、ネジ等の確認をしていた。他の代表チームはトラブルが発生しない限り、バラバラにはしていなかったようである。それらのうちのいくつかのチームのロボットは試合中に運悪く不具合が発生していた。

【私の気づき・学び】
正常に稼動しているロボットを敢えて毎回分解し点検する。短時間の再組み立て時のトラブルリスクを冒してまで。私には疑問であったが、中国チームのコメントで納得した。「分解・再組み立て作業自体も、普段から徹底的に練習し、確実な作業にしている!」<3>彼らのリーダーの試合前のコメント 「自分たちは徹底的にロボットを製作してきた。あとは自分たちが普段通りに試合で振舞えるかである!」

【私の気づき・学び】
ハードスキルがきちんと出来ている前提で、最後はソフト(ヒューマン)スキルで決まるということである。ハードスキルは十分という自負のうえに成り立つセリフである。

しかしながら、我々のまわりでは、ソフトスキルという前に、まだまだハードスキル、例えばWBS、RAM、ネットワーク図、(逆線表でない)ガントチャート、EVMなどをきちんと整備する必要があるのではないだろうか。

「ABUロボコン世界大会」を通して、私には、いろいろな面で多くの気づきがあった。
ものづくりの世界では、当たり前のことかもしれないが・・・
中国代表は4年連続優勝、日本代表は予選敗退・・・
ロボコンとは違う意味でも、深く考えさせられることが多かった。