社長が言えないことと、言うべきこと

2018/03/15 中嶋 秀隆

 社員に向かって社長が言えないことと、言うべきことがある。

 社長が社員に向かって、口が裂けても言えないこと。それは、「10年後のあなたの雇用を保証する」ということだ。ビジネス環境が急速に大きく変わるなかでは、今後10年間、何の変化や変革もなしに会社が存続することはあり得ない。最近の例を見ても、名門の自動車会社の社長がいきなりフランス人になることもあれば、自分の所属する部門が、社内の他部門の経営ミスのあおりを受けて、部門ごと他社が売却されることもある。社長自身、今後10年間、社長として経営のかじ取りを続けるかどうかはわからない。だから、10年後のあなたの雇用を保証するなどという社長がいたら、無責任のそしり免れないだろう。

 では、社長は社員に何を語るべきか。それは、「あなたが一定期間、当社の社員として勤務するなら、それに見合う知識と経験を得るチャンスを提供する」ということだ。定常業務であれ、プロジェクトであれ、ビジネス環境の変化に対応するには、社員自らが学習し、知識を獲得しなければならない。そして、積極的に挑戦する必要がある。会社はそのためのチャンスを提供する。そのチャンスを活用し、プロとしての自分を磨くのは、社員の責任である。