知識エリア「ステークホルダー」の新設

2013/06/11 中嶋 秀隆

PMBOK®が第4版から第5版に改訂され、知識エリア「ステークホルダー・マネジメント」が新たに追加された(2012 年 12 月)。第 4 版ではステークホルダーについて「コミュニケーション・マネジメント」の知識エリアで触れていたが、 第5版では独立の知識エリアとなった。

その結果、PMBOK®の知識エリアの数は、初版から第 4 版までは 9 つであったが、今回、10 になった。10 の知識エリアのそれぞれは、ISO(国際標準化機構) が ISO21500(2012 年 9 月)で提唱する 10 のサブジェクトグループと軌を一にしている。

「ステークホルダー」には、「利害関係者」という訳語をあてることもあるが、日本語ではわかりにくい。PMBOK®初版の翻訳にあたった田中弘氏は冒頭の文章でこの語につき「我が国ではではあまりなじみがない」と注意を喚起しておられる。それが1つの知識エリアとして独立したことは、プロジェクトマネジメント(PM)において人間系スキルの重要性がいよいよ増してきていることを物語る。

見方によっては、PM 分野が左脳に依拠する技術的スキル(スケジュールやコスト、リスクなど)については一定の到達をし、 右脳に依拠する人間系スキルをカバーして、総合技へと脱皮しすることを意味するのかもしれない。