文書化の5つの利点

2010/05/13 中嶋 秀隆

今年もK大学で授業をした。すでに10年ほどやらせていただいている。当初に窓口担当をしてくれた先生は、今や教授として学科主任の大役を担っておられる。大学の国際交流を推進し、「チャンスを与えさえすれば学生は伸びる」と、フランスに留学中の学生の目覚しい成長を語ってくれた。そして、「後世畏るべし」で共感した。

この授業では全学生に「私の将来の夢」を具体的に書き出してもらっている。さらに学生の数人には、日本語と英語で発表してもらう。こちらが誘導するわけではないが、仕事(研究)、家庭、趣味といった分野で、バランスのとれた夢を語ってくれることが多い。

先生方との恒例の夕食会で、学生たちが描く「将来の夢」が話題となった。その際、目標設定の重要さと、目標を文書化することの重要性が話題となった。私見では、目標設定の利点は5つに集約される。

1)きちんと考え,決心する。ただ望むことと決心することには天と地ほどの違いがある(アラン
『幸福論』)。そして、文書化は決心を促す。
2)達成意欲が高まる。
3)繰り返し見ることで、深く心に刻む。
4)雑音を防ぐ。
5)達成度を具体的に測れる

そんな話をすると、若手の准教授の方がご自分の実体験を話してくれた。その先生は「40歳までに准教授になる」のいう目標を文書化し、見事に実現されたとのことだ。そして次の目標は「研究成果をあげ、N賞を受賞すること」だとおっしゃる。その先生のN賞受賞を、私は今から期待している。