妥当性の確認と検証

2014/12/10 中嶋 秀隆

英語でビジネスをすると、”validate, validation” と ”verify, verification” という言葉に出会うことがあるが、両者の違いはわかりにくい。 私が参加している PMBOK (プロジェクトマネジメント知識体系)の邦訳の活動でも、翻訳チームは両者の違いを繰り返し議論し、 その結果、”validation” は「妥当性の確認」、”verification” は「検証」と訳すことで落ち着いた。 日本プロジェクトマネジメント協会 (PMAJ) の R&DSIG の発表でも、大和田政孝氏(日立製作所)が、両者の違いをわきまえることの大切を強調しておられた。 ビジネスでの心構えとして “Do the right thing right.” (正しいことを正しく行え)というが、 この場合、真ん中の名詞(目的語)“the right thing” が「妥当性の確認」(validation)であり、末尾の副詞“right”が「検証」(Verification) である。

ソフトウエアの開発では、これを次のように説明している。Validation ensures that “you built the right thing,while verification ensured that “you build it right.” Validation confirms that the product, as provided, fulfillsits intended use. つまり、正しいものを作ったかと、 正しくものを作ったかの違いだ。”validation” とは製品が要求事項 (requirements) を反映するかどいうかを見ることであり、 ”verification” とはインプットが正しいアウトプットを生成するかどうかを見ることだ。これを整理すれば、 ”validation” を行った結果、妥当であれば ”valid” であり、妥当でなければ ”invalid” である。”verification” の結果、正しければ ”correct” であり、正しくなければ ”incorrect” である。だから、“You built the valid thing correctly.” のみがまともな形であり、“You built the valid thing incorrectly.” や “You built the invalid thing correctly.” “You built the invalidthing incorrectly.” なまともではない。

ちなみに、観点を変えると、“Do the right thing.”(正しいことを行う)が ”effectiveness”(効果性)であり、“Do it right.”(正しく行う)が ”efficient” (効率性)である。リーダー論では、Do the right thing.”を ”leadership”といい、“Do it right.”を ”management” という。

以 上