叶えたい夢がある

2012/02/29 中 憲治

茨城県取手市に「江戸川学園取手中学校・高等学校」という私立学校がある。今でこそ茨城県南部地域での有数の進学校があるが、その昔、野球部を強化し甲子園で優勝、その後偏差値があがり進学校へとなっていった、スポーツから進学校へ転換のビジネスモデルの先駆けとなった学校である。この学校のスローガンは「夢は現実となる」、当学園で一生懸命勉学を積めば、夢としていた希望校(大学)に入学できるといった意味だろう。

そういえば、1 月下旬に走った「勝田マラソン」で途中出会ったランナーのTシャツの背中に書かれた言葉は「叶えたい夢がある」。仕事だけでなく趣味の分野でも、人生の中で叶えたい夢は誰でも持っていると言える。思い描く夢は数多くある、それはただの夢で終わるものも多い。しかし、本当に叶えたい夢もあり、実現できた夢もある。実現できた夢と、夢のままで終わった夢の違いはどこにあるのだろうか?

先日のテレビで、大林組の広報誌 2 月号に載った「宇宙エレベーター」の記事を報じていた。2050 年までに月までの1/4の距離に当たる9万6000kmのケーブルを設置し、約1週間かけて3万6000kmの中間地点に設置された「静止軌道ステーション」までのエレベーターを建設するプロジェクト構想である。インタビューに応じた担当者のコメントが次のようなものであった。「これは『夢』ではありません、これは『予定です』。9万6000kmのエレベーター用ケーブルの設置がカーボンナノチューブの開発により、技術面では可能になったのです」。大林組の担当者は、「夢」が「予定」にまで進むためには、技術的な実現性の前提が必要なことを述べたのだと思われる。

叶えたい夢が実現するまでには、どうやら次のようなプロセスを踏むのではないかと考えられる。「叶えたい夢」⇒「達成目標」⇒前提となる条件(新技術など)の整備⇒「予定」⇒「具体的目標」⇒「緻密な計画」⇒「粘り強い実行」⇒「実現」「ハヤブサプロジェクト」もこのようなプロセスを経て実現したのではないかと考えられる。私には、プロセスが情報公開される時がきたら、検証してみたい夢がある。