人芯経営論 ・・・言葉の定義を考える③「問題」と「課題」の区別

2011/11/15 浅見 淳一

今月は問題・課題解決の世界では分けて使分けていますが、一般的にはあまり違いを意識して使われていない「問題」と「課題」の区別について書きたいと思います。

◆「問題」と「課題」の定義
研修で「問題」と「課題」の定義について聞くことがあります。ほとんどの人は「はっきりとしたもの」と「あいまいなもの」の違いといったような答えです。新明解国語辞典(三省堂)では、いくつか説明はありますが「問題」は「解決すべき面倒な事柄」であり「課題」は「それをやるようにと与えられた題目や問題」(一部抜粋)と書いてあります。

定義に正解不正解はありませんが、なんとなくよく分かりません。今月は私たちロジカル・シンキングの講師の定義をご紹介します。
「問題」の定義は、今の状態は現状になります。つまり「現在の姿・現状(As Is)」です。過去のある時点から今を考えた時の、「ありたい姿・計画(To Be)」 があります。つまり過去にたてた目標が「ありたい姿、計画(To Be)」になります。その「ありたい姿・計画(To Be)」から、「現在の姿・現状(As Is)」を比較した時の未達成の部分が差異・ギャップになります。そのギャップを「問題」と定義しています。

「課題」の定義は、現在の時点で、将来の「理想の姿・計画(To Be)」を考えます。将来の期待している目標があります。そして、現時点で将来を予想した時の現実的な状態・姿があります。その将来の「予想される姿・予測(As Is)」と将来の「理想の姿・計画(To Be)」と比較した時の未達成が予想される差異・ギャップが「課題」になります。
・「問題」は、現在のありたい姿(To Be)-現状の姿(As Is)
・「課題」は、将来の理想の姿(To Be)-予想される姿(As Is)
のマイナスの未達成の部分(ギャップ) になります。

問題はすでに発生しているマイナスのギャップ、「課題」は将来発生が予想されるマイナスのギャップです。ですから「問題解決」「課題解決」とは言いますが、「課題達成」とは言っても「問題達成」という表現はありません。ですから、問題と課題に対する、解決するためのアプローチ手法は違うものになります。その違いは来月書きたいと思います。

<余談1>
今月の余談は、告知というかPRです。すみません。11月22日に私の新刊が出ます。書名は「PM流 法人営業の教科書」(総合法令出版)です。営業活動を準備段階から契約段階以降までの6つのプロセスに分解し、各プロセスで実行すべき活動とスキルや資料などを定義しています。PMのWBSの手法などを応用しています。営業活動を可視化し標準化しています。俗人的スキルややる気などの精神論的イメージでとらえられがちな営業活動を、論理的で創造的な営業活動のイメージに変えたくて書きました。
上記の「問題」と「課題」や「問題解決手法」と「課題解決手法」なども解説しています。是非、書店で立ち読みしてみてください。