人芯経営論 ・・・仕事の取り組み

2010/10/14 浅見 淳一

比較になりませんが、最近の新卒の学生は、私の時代より(私だけかもしれませんが)、みんなすごく勉強しています。資格もたくさん持っていてとても優秀です。しかし私が感じる2つ目の問題点は、簡単に物が手に入り与えられてきたため、権利の意識に比較して、我慢や義務と責任の意識が弱いことだと感じています。

せっかく企業が一生懸命採用しても、学生が一生懸命就職活動しても、3年で約3割が退職するというデータがあります。よく聞く退職理由は「やりたい仕事ではなかった」という意見です。しかし、本当にやりたい仕事が何なのか分かって辞めているのかどうかは疑問です。そう言って退職した人が、やりたい仕事をやるために努力しているという話は、あまり聞くことはありません。単なる逃避のための言い訳なのでしょうか。しかし逃避が問題の解決につながることは稀です。

企業がいきなり何の実績もない人間に、リソース(人物金)を任せる訳がありません。周りにあなたの力を証明しないまま、やりたい仕事ができると考えるなら、世間知らずか自分勝手すぎる考え方です。まずはつまらない仕事だと思っても目の前の仕事に全力を尽くし実績をだすことから始まります。簡単な仕事、小さな仕事もできない人間に、難しい仕事、大きな仕事を企業が任せることはありません。

3人のレンガ職人の有名な話があります。旅人か「何をしているのですか?」と尋ねたところ一人目は「決まっているだろ、お金のために働いているんだよ」二人目は「みればわかるだろ、レンガを積んでいるんだよ」三人目は「大聖堂を作っているんでさぁ」と嬉しそうに答えました。もしあなたが、あなたの仕事を尋ねられたら何と答えますか。どんな仕事も自分の考え方次第で素晴らしいものになるというたとえ話です。

周りがやりたい仕事をさせてくれないから、という考え方は受け身です。芸人さんと噂になったテレビの女性司会者がまわりから「忙しくて時間がなくて会えないでしょう」と聞かれたときに「時間はあるものじゃないの、作るものなの」と、力強く答えていました。やりたい仕事は与えられるのではなく作り出す。それぐらいの積極的な考え方も必要です。

仕事がうまくいく考え方として、自分からの視点で考えることと、人からの視点で考える2点があると考えています。

1点目の自分視点では、「得意なこと、好きなことに力を注ぐ」孔子の論語には「知っているだけの人は好きな人にはかなわない。好きな人は楽しむ人にはかなわない」と言っています。
2点目の人の視点では「世の中、人の役に立つこと。人の喜ぶことをやる」自分がやりたいこと、やろうとしていることを、その2点の視点でチェックしてみてはどうしょうか。採算性や利益を考えるのはその2点がクリアされてからの判断だと思います。 厳しい経済環境の中、やりたい仕事につけていないかもしれません。しかし人や環境のせいにしても解決にはなりません。やはり論語では、「君子はこれを己に求む。小人はこれを人に求む」の言葉があります。小人は人のせいばかりにする。という意味です。どんな仕事でも、世の中の為になっています。積極に取り組んで、自分の成長に結びつけた方が得ではないでしょうか。自助という考え方です。

私が偉そうなことを言う資格はないと思っています。知り合いが、「ニック・ブイチチさん」のことを教えてくれました。両手足がない人の話です。どのような環境の中でも、自分の運命を切り開いている人を知ることは、勇気づけられます。、you tube からの映像です。
https://youtube.com/watch?v=oOHD8OqBVYs%26hl%3Dja_JP%26fs%3D1%26am…

<余談1>
出来れば月に1本は心に残る映画を見たいと思っています。出来れば安い映画の日に。最近は、私の琴線に触れるものがありませんでした。先日、雑誌「致知」で紹介されていた「1/4の奇跡~本当の事だから~」を見に行きました。先に友人が見に行き、すごく良かったと感想を伝えてくれました。

特別養護学校の山元加津子先生のドキュメント映画です。山元先生と自閉症などの障害を持つ生徒さんたちとのやり取りの話がメインです。入江登美子監督の講演会つきでした。入江監督は、映画製作の経験はなにもないのにいきなり「宇宙に感謝の量を増やす」と思って映画を作られたようです (びっくり) 。映像は確かに素人の域ですが、内容は最高です。入江監督の話もとっても良かったです。最近は海外でも上映されているようです。スタッフの皆さんが作ってくれたおにぎりもとても美味しかったです。

映画を見るまでは、自閉症や障害のある人たちのことを知能が未発達の人たちや可哀そうな人たちのような考え方をしていました。でもたとえば大ちゃんが作った詩「僕が生まれたのには理由がある。生まれるってことにはみんな理由があるんや」「殺されるために生まれてこない。殺すためにも生まれてこない。戦争は大事なことを忘れている」を読むと、そんな考えは自分の思い上がりだと思い知らされます。

だんだん体が動かなく多発性硬化症(MS)の雪絵ちゃんは亡くなる直前まで「MSである自分を無駄にしたくない。MSである自分を後悔したくない。MSである自分を好きでいたい」周りには「人って、愛するため愛されるために生まれてきたんだって思うよ」と言っていました。きっと、人はそしてすべての物はみんなつながっています。副題の「本当のことだから」は偉いお坊さんの「ものも、ことも、ひとも、みんな必要だからそこにあると言うこと。本当の事だから、お釈迦さまも昔の人も気付けました」の言葉からです。

障害を持って生まれてきてくれた子は、僕たちの替わりに障害を引き受けて生まれてきてくれた、勇気のある心のきれいな魂の人たちのように思えます。僕たちはただその強さやその資格がなくて、健康に生まれてきただけなのかもしれません。

自主上映の映画ですから、なかなか見ることはできませんが、機会があればぜひ見てください。会社の中で上映会を開くともできるようです。よかったら検討してみてください。お願いします。自分を仕事を会社を見直す良いきっかけにもなると思います。
http://www005.upp.so-net.ne.jp/kakko/eigoyukie/yukiechanswish2.html
http://www.yonbunnoichi.net/joueikai/yotei/