人芯経営論 ・・・いまさら W 杯

2014/09/29 浅見 淳一

2014年のワールドカップが7月13日に終了して、早いもので 2 月が経過。日本国内の野球はペナントレースの終盤に入り、セリーグは巨人がリーグ優勝を決めました。

今更ワールドカップの話題でもないと思いますが、あえて。あらかじめお断りしておきますが、私は学生時代サッカーの経験はありません。今年のワールドカップの試合は一切見ていません。ニュースのダイジェストで結果を見た程度です。簡単に言うと全くのど素人です。ワールドカップが終了した時に、巨人の原監督が「サッカーは、今回の結果を受けて、良かった点や悪かった点、継続すべき点、改善すべき点などを振り返ったほうが良い」のような趣旨の発言をしていました。プロジェクトマネジメントでは、プロジェクト終了後には、レビューし教訓を得ることが推奨されています。原監督の発言は「まさにその通り」と納得できます。

日本人の国民性に「済んだことは水に流す」「結果にかかわらず努力を評価する」があります。日本人の精神的な美点だと思いますが、現在のグローバル競争時代に、それだけでは厳しいのではないでしょうか。後、日本人の弱点の一つに、戦略的視点、戦術的視点で判断する思考力が弱いと感じています。現在の FIFA ランキングで、日本の順位は世界 48 位、アジアでは 44 位のイランに次いで 2 番目です。本選に進むためには、まずアジア地区の予選で勝ち残らなければなりません。

日本はアジア地区では、サッカーの強豪国です。ですから力でねじ伏せることができる、攻撃的なチームを組織することが勝つための戦略になり、能力・テクニックの高い選手を集め、前線の選手が細かい連携で相手を翻弄して得点を挙げます、対戦相手が弱いときは、3-0 の圧勝、接戦になっても 4-3 で勝てるチームを作ることが戦術になります。

予選を勝ち抜いて、ワールドカップの本選になった時には、日本は世界の弱小国です。個人の能力に頼れません。ですから防御的なチームを組織することが戦略です。守備中心になります。ボールを奪う力、キープ力のある選手を集めます。ほとんどの人数を後ろに引いた守備の陣形にします。攻撃はボールを奪った時に前線に足の速い選手を一人置いて、カウンターアタックが戦術になります。0-0 の引き分け試合をめざし、あわよくば 1-0 で勝つことができるチームを作ることが戦術になります
今年のワールドカップを見ていると、アジア予選を勝ち抜くための戦略戦術のまま本選を戦ったように見えます。本選を勝ち抜くためには4つの方法があります。
① 対戦相手に恵まれる幸運を期待する。神様頼み。
② 日本のサッカーのレベルが、世界のトップに成長するまで待つ。時を待つ。
③ 予選と本選とでは戦い方を変える。当然、予選と本選のメンバーは大きく変わります。この方法は「選手がかわいそう」などの感情論で、協会とマスコミとサポータの支持を得ることは難しいでしょうね。
④ 予選の段階から、本選に対応できるように守備的なチームを作る。弱いチームと対戦する時でも接戦になります。場合によっては取りこぼすこともあります。この方法もマスコミの集中砲火を浴びるでしょうね。どの方法も困難でしょうが、現実的には、④が最もワールドカップで勝ち進める可能性の高い選択だと考えます。ひょっとしたら今度の監督は、今はその方向に行こうとしているようにも見えます。

今回のエッセィを書いてみて、人がしばしば、野球やサッカーやゴルフなどの話題を、夢中になって話す気持ちよく分かりました。責任を取らないで済む無責任に話せる話題は、一種の爽快感があります。