まずは定義から始まる

2016/01/06 中 憲治

新年の初めは、元旦、元日、正月どれ?この3つの言葉は同じようで、じつは定義は異なる。元日は1月1日、新年の初めの日をいう。元旦は、元日の朝、正確には日の出の時を呼ぶが、慣用的には元日の午前中までをそう呼ぶといわれる。正月は1月のことで、新年の最初の月を指すが、慣用的には、1日~3日までの3が日、あるいは7日までの「松の内」をそう呼んだり、地域によっては15日まで、20日までをさすなど異なっている。一つの言葉でもいろいろな事情で異なる定義があることから、物事の初めにまず言葉を定義することが重要となる。
プロジェクトマネジメント用語は、もともと英語が基本であり、日本語として使用するのは、本来日本語にはない範疇の言葉の時は定義を明確にしておくことがより重要となる。
「スコープ:Scope」という言葉も日本語で表そうとすればかなり苦労する。
ある会社で、プロジェクトマネジメントに関する講演を依頼された時、この会社では、プロジェクトマネジメントに関して、コンサルタント会社に指導されており、そのコンサルタント会社は、スコープについて(成果物の適用範囲)との定義を教えており、スコープの意味を理解して頂くことに大変苦労した経験がある。
実は、PMBOK®でもスコープはやや難解な分類に入る言葉である。PMBOK®には、「スコープ」「プロジェクト・スコープ」そして「成果物スコープ」の3つの言葉が並ぶ。以下、PMBOK®第5版の定義によると次のようになる。
「スコープ」=プロジェクトにて提供するプロダクト、サービス、所産の総体。「プロジェクト・スコープ」=規定された特性や機能をもつプロダクト、サービス、所産を生み出すために実行しなければならない作業
「成果物スコープ」=プロダクト、サービス、または所産に特有な特性や機能
スコープという言葉を使う時は、この3つの言葉のどれを指しているのか、定義しなければ誤解を招くこともあり得る。