プラネットが毎月開催する「プロジェクトマネジメント標準10のステップ(PM10)」の公開セミナーでは、 参加者にバーチャルなプロジェクトを設定してもらい、それをテーマとしてプロジェクトの計画を立案していく。バーチャルであるが、楽しく、夢があり メンバーが盛り上がるようなテーマを考えてもらうようお願いしている。テーマには時節柄、地域の活性化のために「地産名産品の開発」とか「マスコットキャラクターの開発」などが取り上げられることが多い、 スポーツものでは「プロサーカーチームをつくる」などのテーマも取り上げられる。その中で、「地産農畜産品を生かしたB級グルメを開発し、 コンテストで優勝する」を目標としたテーマを設定することもある。
プロジェクトの目標を「地産農産品を生かしたB級グルメを開発し、B級グルメコンテストでグランプリ(優勝)を獲得する」 と設定することはわからないでもないが、そのプロジェクトの成果物までも「B級グルメコンテストでのグランプリ(優勝)」 と設定することもよくある。
しかし、これには首をかしげざるを得ない。成果物とは、プロジェクトの終了時点で得られる具体的なアウトプットであるが、 グランプリ(優勝)が成果物とした場合は、そのプロジェクトはグランプリ(優勝)を獲得するまでプロジェクトを完了できないこととなる。
しかし、プロジェクトには納期があり、たとえば1年後の開催されるコンテストでグランプリを獲得と設定した場合は、 いつまでもプロジェクトを続けることは出来ない。もし、1年後のコンテストでグランプリを獲得できなかった場合は、 そのプロジェクトは成果物を得られないままで終了する失敗プロジェクトとなる。B級グルメコンテストに参加する商品が100点あったとすると、数学的なグランプリ獲得の確率は1%である。「物事にはすべて不確実性がありそれもやむを得ないのではないか」、「チャレンジングなプロジェクトはいつでもある」 などとの意見もあろうが、成果物が低い確率でしか得られないようなプロジェクトでは、成果物の設定に一工夫が必要であろう。