リスク2題

2016/11/17 中 憲治

最近気になったリスクに関する出来事2つ

 ①駆けつけ警護 閣議決定
 南スーダンのPKOに関連して、安保関連法の改正後、最初の適用事案として「駆けつけ警護」の付与を閣議決定した。しかし、現在南スーダンにおいては、治安情勢が悪化しており、自衛隊が戦闘に巻き込まれるリスクも想定されると言われている。そこで、政府は活動範囲を「首都ジュバおよびその周辺地域」に限定した。朝日新聞の記事では、稲田防衛大臣の言葉を借りれば、これにより「(自衛隊の活動は)銃撃戦が行われるような苛烈な現場で行うことは想定されない」「他国軍を駆けつけ警護することは想定されない」など想定されない事態のオンパレードとなっている。想定されない事態が発生した時は、「想定外だった」の一言で釈明することが想定される。福島第一原発事故の時、東電が繰り返した言い訳であり、その後のマスコミでも引用された言葉である。発生した事態が想定外であれば、日本の司法では、結果責任は勿論過失さえ問われないことが想定される。日本のリスクマネジメントの成熟を阻害する魔法の呪い言葉である。

 ②熊出没、注意!
先日、晩秋の中山道を歩いた。岐阜県の恵那市、大井宿から御嵩宿までのおよそ30㎞を歩いたが、平日であった為か、誰一人として歩いている人とは出会わなかった。江戸時代の中山道と余り違わないと思われる快適な山道が続く道を快適に歩いていると、「熊出没、注意!」の看板に出くわす。出来るだけその場を早く離れようと焦って早足で歩き続け、大湫宿までようやくたどり着く。大湫宿の公民館で聞いた話は、私をさらに惑わす事となった。
 ①熊の行動範囲は非常に広く、20~30kmは想定される、熊の出現場所から脱出しようとすることはあまり意味がない。
 ②私が見た看板は、2~3年前のもので、今年は熊出没の情報はない。看板が設置された原因となっている2~3年前の熊出没情報も実は定かでない。
 ③最近では、熊よりも7匹ほどの野犬の方が近隣の住民のリスクとなっている。
 ④熊の出現は防ぎようがない、野犬も同様だ。
 中山道歩きを計画した時は、熊対策の為の「クマよけ鈴」を持って行こうと考えていたが、「まあ、大丈夫だろう」と高をくくっていた。
 幸にして「熊の出現」というリスクの出現には遭遇しなかったが、「熊出没、注意!」の情報に遭遇してもどのように対処(発生時対策)してよいのか皆目わからない状態だった。このことをFBにUPしたところ、SMEからコメントがあった。曰く「熊への対策は出くわさないこと(予防対策)、携帯ラジオのボリュウームを大きくし、クマよけの鈴を鳴らし続ける事!」それしかないのね!