It’s depends

2015/04/13 中 憲治

 プロジェクトマネジメントのセミナーのインストラクターを担当している時に、 受講者から次のような質問を受けることが多い。例えば「プロジェクトのスケジュールが遅れた場合、 どのようにすればよいのですか?」のような質問だ。質問者は、自分の直面した問題に対してBestの回答を求めている事は理解できる。 この質問に対するBestの答えは「It’s depends」である。しかし、このような答えをした場合、 質問者からは、「どういう意味ですか、具体的に教えてください」と再質問を投げかけられる。 あるいは答えになっていないじゃないかとの反応をノン・バーバルに返されることがしばしばある。 「It’s depends」を判り易く翻訳すれば、「問題状況は、様々であり一つ一つ異なる、その状況に応じた答えがある。 だから答えは、問題状況次第ですよ」となる。質問者が置かれている状況は、インストラクターには解らない、 質問者がどのように詳しく状況を説明しても、理解しえない状況は多くある。説明された状況を踏まえて 何らかの回答をしたとしてもシックリこない回答となることは避けられない。だとすれば、質問者が直面した問題状況に対する Bestな回答は問題状況をすべて理解している質問者自身が考えるしかない。「It’s depends」を別な言葉で言うとすれば、「答えは、あなた自身で考えなさい」となる。

かって、あるセミナーでコンサルタントに質問をした時に、「It’s depends」の答えをもらった時、 「答えになっていないじゃないか?」の思いを抱いた事がある。しかし、この答えの意味をよく考えてみると、 問題状況はそれぞれに異なる、それに対する答えはその問題状況により異なる。故に、答えは「状況次第だよ!」と納得した経験がある。
何故正解を求めるのか?!私論であるが、常に正解のある問題(選択問題や穴埋め問題)の世界で教育を受けた日本では、 問題には必ず正解がある、その正解を記憶することが優秀の証明であるとの風土がある。 自分の置かれた問題状況における回答は自分で考えるとの事が理解されていないという悲しい問題がる。

自分で考えることに必要な事は何か?それに対する答えは、「考えるプロセスを習得する」ことである。 “考えるプロセスを学び”、“そのプロセスを使うことを繰り返し”、“常に問題への対処の答えは自分で考える”ことを繰り返し経験を積むことの大事さを提起したい。