対話力

2009/01/07 香月 秀文

昨年 顧客の社長とミーティングを行ったときに、依頼されたのが社員の対話力を強化してほしいということでした。
マーケティング知識の強化やマネジメント能力の強化などはよく依頼されますが 対話力は初めてでした。そこでいろいろ調べた結果 物理学者のボームが対話について著わした書籍に辿りつき対話のコンセプトつくりの参考にして スタートしました。なかなか難解な本で一度読んだぐらいでは 理解できない内容です。流石 物理学者です。そこで今回はボームの思考の解説ではなく 建築家 安藤忠雄の中にでてくる対話を紹介します。

表参道ヒルズ
最初にPJの打診を受けたのは 1994年
旧同潤会青山アパートを複合都市施設に建て替えるという話を聞いた瞬間に、これは難しい仕事と思った
100人近くの地権者がいるということは ひとつのものを決めるのにも 100人の合意を得なくてはならないという事業の難しさ
建て替え計画は1960年代から何度となくあったが 実現に至らなかった。
建築家として参加すれば 地権者と世論の板挟みで複雑な立場に立たされる
建築以前の政治的問題の難しさがある一方、建築家が参画する意義がある
1996年再開発組合の理事会で正式指名を受ける
ほぼ3か月に1回の割合で開かれる会合で 事態をまとめてゆくよりも 組合員の方々には思いをすべて吐き出してもらって ともかく聞くことから始めた
互いに妥協せず 腹を割った対話を重ねることで 気持ちのずれを乗り越えていこうと考えた
最初の会合から最後まで PJに対する私の方針は大本では まったく変わっていない
最大の対立点は古い建物2棟を過去を伝えるモニュメントとして残す。これには猛反発を受ける。機能不全で建て替えるのにそれを残すのは馬鹿げていると反発
長い接道面を持つ建築は、公共に対してそれぐらいの無駄をする責任があるという主張を曲げなかった
4年あまりに話し合いを経て 地権者の方たちが最後は安藤さんに任せるとなったのは

1. 一貫して同じ主張をつづけた頑固さが信頼につながった
2. 寄せられた意見には応じるか否かは別に 必ず答えた

結局プロジェクトを実現に導いたのは 人間同士の「対話」という当たり前の行動の積み重ねだった。(プロジェクト・マネジャーに必要とされるスキルです)
プロジェクトを成功に導くための プロジェクト・マネジャーのためのピープル・スキルの重要な部分です。

プロジェクトはますます複雑に
プロジェクト・マネジメントの80%が ピープル・スキル(アート)であり、20%が技法(サイエンス)といわれている。

今日企業の成功を決定づける要因は People Skills であり、その重要性はますます増加している。プロジェクト・マネジャーはチームを掌握 しグル(リーダー)の役割を果たすためにはPeopleSkills は必要な技巧、特技である。

トム・ピーターズ(経営コンサルタント)