史上最高売上と最高益

2009/09/01 浅見 淳一

企業業績を研究していると史上最高益を記録した年の後に急激に状況が悪化し赤字に転落するケースが多いようです。
年度別の業績は便宜上年間で計算しますが年度末が終わってすべてリセットして新年度から新しく始まるように思ってしまいます。しかし実際は連続していて1年毎に期間を区切ってビジネスが展開されるのではありません。このためにより早く企業業績を把握する方法としてMAT(MovingAnnualTotal)という計算方法があります。これは月度の数字を使って直近12カ月の累計を計算する方法でより現在の実力を測る方法かと言えます。
最高益の決算数字が出た時にはすでに現場や末端では別の兆候が出ていても決算数字との時間的なずれとビジネスの環境変化のスピードがこのような結果になることが多いようです。また企業が大企業になればなるほどこの兆候が表れます。大きくなると手足のセンサーが鈍くなり末端の情報がタイムリーに脳に伝わらなくなります。
これは政治の世界でも言えるようです。

東京地区における自民:民主の比率を見てみますと
    自民 民主
2003年 12 : 12
2005年 23 : 1(これは史上最高益にあたるでしょう)
2009年 自民の危機的状況(死の谷に突入寸前)

この4年間であっという間に状況が変わりました。これもパラダイム・シフトのケースと言えるようです。もうひとつ言えるのは企業にとって大切なサクセッション・マネジメントの政党における失敗と言えそうです。
GEはジャック・ウェルチからジェフリー・イメルトへバトンタッチしました。ユニクロは柳井氏から玉塚氏へのサクセッションが上手くいかず再度柳井氏が復帰しました。
サクセッションは次期の候補者に責任があるというよりは選ぶ方に責任と人間判断能力が必要なようです。
史上最高益を出した年はマイナスの兆候が出ていないか診断を受ける必要がありそうです。当事者ではどうしても客観的に診断が難しいので第三者に診てもらうのが良いようです。企業も人間も同じです。