人芯経営論 ・・・PMI 日本フォーラム 2014 にて

2014/07/22 浅見 淳一

先日の 7/12-13 東京で「PMI 日本フォーラム 2014」が開催されました。私は仕事の都合で 7/12 だけ参加してきました。毎年、色々な方の講演を聞くのが楽しみです。

今年は、マツダ株式会社 商品戦略本部長 梅下隆一氏の「マツダの新世代商品づくりのチャレンジ」のご講演がとても面白かったです。内容は以下のようなものです。

マツダはロータリーエンジンなど先進の技術を誇っていた会社でしたが、バブル崩壊で、経営が悪化し、フォードの資本参加などが行われました。 梅下さんは、会社の将来に希望も夢も持てなくなって、会社を辞めることも考えていたそうです。

そんな時にフードから来たCEOが「ZOOM-ZOOM」のキャッチコピーを2002年から展開し、それが今でも続いています。 「ZOOM-ZOOM」とは、訪米の子供たちが車を運転するときの言葉で、日本では「ブゥゥゥゥン。ブゥゥゥゥン」にあたる言葉です。 「走ることの楽しさを伝えたい」「車で人々を笑顔にしたい」ということです。それで、梅下さんは、 会社が変わる予感がして退職を取りやめたようです。そんな会社の思いが、とてもよく伝わる TV-CM ビデオが HP にあります。
http://www.mazda.co.jp/beadriver/?link_id=behm01

今、マツダは「ZOOM-ZOOM」を実現するために、会社があり社員は働いています。 そのための戦略として、エンジンの開発は、EV とかハイブリットとかいろいろありますが、究極の内燃機関を目指こととし、 例えば世界最性能のディーゼルエンジンを開発しました。足回りのチューニングも徹底的にこだわっています。ボディーのデザインも、 多くの会社が 3D-CAD で設計する中、グレイモデルつまり粘土の大きな塊を削って作成しています。 何となくマツダの車のボディーのラインは美しいと感じていましたが、納得できました。自動車は工業製品ですが、マツダは工芸品、芸術品のレベルを目指しているのでしょう。

マツダは「際立つデザイン」「抜群の機能性」「反応の優れたハンドリングと走行性能」 を車づくりの指針とし、この指針に基づいて「デザイン」「パッケージング」「足回り性能」では世界最高性能を実現する社内規定を設けています。

急速な技術革新やグローバル競争や為替の変動など、企業の経営と維持が難しい時代になっています。そんな環境変化の中、限られた社内リソースを、「何に向かって投入するか?」そして「何のために投入するか?」が何よりも大切なことを、気づかせてくれた素晴らしいご講演でした。