人芯経営論・・・経営資源について

2009/04/16 浅見 淳一

友人と飲んでいると、何か資格を持っていれば(人)、子供が大きければ(金)、やりたいことがあれば(物)、人脈があれば(情報)、新しいことを始めたい。と思いを聞く事があります。でもちょっと考えてみてください。すべての条件が完璧にそろうことなどまずありません。それを決断の基準にした場合は、決して新しいことは、始められないという結論になります。今ある大企業が、最初に起業したときに、すべての経営資源を持って始めたかといえば、むしろ逆で、パナソニックもホンダも京セラを始め、多くの企業は、ごく僅かしか経営資源を持たないところからスタートしています。

経営資源としての「経営理念」
前に4大経営資源として「人、物、金、情報」について書きました。(個人的には、人イコール資源イコール物扱い。をしているようで、若干抵抗感があります)しかし、本当に、この4つが全てそろっていれば、すぐに経営ができるのでしょうか?仮に、誰かが、ある時、急にあなたに、「(人、物、金、情報)を充分にあげます。なにか事業を始めてください。」と言われたとしたら、会社を立ち上げることが出来るでしょうか?多分、何の業種を、何の目的でやるか、すぐには思いつかずに、どうしたら良いか分からずに、途方にくれるのではないでしょうか。会社を経営していく上で、もっとも大切なことが、何なのでしょうか?企業として、社会に対して実現したい夢や目的があってこそ、始めて、企業の存在理由があるのではないでしょうか。社会に対してどう役立ち、その為に何を提供していくのかが、基本にあって、「人、物、金、情報」は、それを実現するための、手段としての資源です。
例えば、私どものお客様のHPを見ると、経営理念を、3つに分けています。
・Mission → 企業使命、(実現したい理想、夢)
・Vision → 目指す姿、(構想、目標)
・Values → 価値観、行動指針
シンプルでわかり易い表現をされています。このように今は、殆どの企業で、何らかの経営理念をお持ちになっています。しかし、文書として存在しているだけでなら、単なる商品のキャッチコピーとなんら変わることはありません。「経営理念」に対して、企業としてどう取り組み、どれだけ達成できたかが重要なことではないでしょうか。会社の業績として、売上げや利益は、毎月ときちんと管理されています。しかし「経営理念」に対する達成度合いを捉えることは、殆どありません。「数値化できない。データーとして取れない」との理由は理解できます。しかし、数値情報でなくても、言語情報によってでも、経営理念に対して、活動の成果はどうだったかと、振り返って考えることがあっても良いのではないでしょうか。
一番の経営資源は「企業として、何のために存在しているのか?」の存在理由です。