人が育つ。人を育てる

2004/04/28 酒井 昌昭

今や、組織は経営側従業員側ともに既成の枠組み(パラダイム)からの脱却が必要な時代に突入してきたようだ。組織活動の最少単位とも言えるプロジェクトの活動は人が主体の運営なので、リソース(人)を単なる「歯車」的に扱う無機質な仕組みでは早晩、破綻する事になる。
プロジェクト活動を観測するとその企業文化を縮図的な意味で検証する事も出来る。
最近、人材派遣会社の社員(組織への所属者と言った方が適切)の方を対象にPM研修を実施した。(一流と言われている)大企業の社員よりも遥かに意識=ハングリー精神=が高いのである。 自分の価値をどうやって高めようかと言う前向きの希薄を感じたのである。 自分のスキルアップは当然自分の派遣先の評価や給与に直結する。休日の研修も彼らには十分に投資するに値するのである。かく言う私も大企業に勤務していたときは正直、そういったハングリー精神は無かった。可も無く不可もなく過ごしても痛痒を感じない環境なのである。
彼らの活動のもう一つの動機付けはどうせなら「自分の選んだ仕事を楽しんでやる」 と言う事だったのかも知れない。=筆者の経験かもら実はこれが最も大切だと思う=自分自身の価値を高めるために会社を利用すると言う考え方も全体として次第に認知されつつある。利用される組織の側も明快に公言し始めている所もある。
習得するエリア(ドメイン)であるが、単なる技術スキルの習得のみでなく、少し広い意味でのマネージメント・スキルを積極的に身につける時代になってきたと思われる。技術は日進月歩するが、マネジメントは人間活動である限り短期間(人間のレンジで見て)にドラスティックな変革と言うのはめったに起こらないので普遍性が高い。又他の人の知識の活用が可能なのである。