ドラッカー論

2008/08/19 香月 秀文

企業の指導業務に携わっていて最近久しぶりにドラッカーの著書に目を通してみた。15年ほど前にオックスフォードでジョージ・デイ教授のストラテジック・マーケティングのコースを終わりロンドンへ戻ってきくたくたになった体と精神を癒すために1日ぼーとハイド・パークで寝転がっていました。そのときに、唯一日本から持っていった

日本語の書籍がどうゆうわけかドラッカーの「マネジメント」でした。
1日中芝生の上で寝ていてぼんやりしていましたがそのとき開いたページに書かれていたのが「経営者に最も必要なものは高潔なる品性」とありました。1ヶ月日本人のいない大学の寮で缶詰になっていて最初に見た日本語がドラッカーの翻訳の言葉でした。欧米の経営学の権威が理論的な表現ではなくて精神的なそれも東洋的な表現だったのはそれまでがアメリカの最新のマーケティング理論の講義だったので対照的でした。ジョージ・デイ教授は現在ウォートン・ビジネス・スクールの教授ですがその前はハーバードの教授をしていたかと思います。そのときはハーバードからウォートンへ移る間の期間を利用してヨーロッパの企業のマーケティング・ディレクターの人たち向けに特別プログラムをオックスフォードのテンプルトン・カレッジで実施しました。わたしも英国の本社(世界最大の酒類メーカー)の命令でアジアから派遣されました。

今回ドラッカーの遺言を読んでみてあらためて経営者にとってのバイブルということを認識しました。マーケターにとって必須のコトラーの定量的なアプローチと比べてドラッカーは定性的な経営理論でありマーケティング理論と言えます。
マーケティングの常識として物事を定量的観点からと定性的観点から捉えますのでコトラー、レビット、ドラッカーは必要となります。
ドラッカーは人間を見るのが好きなようで、自身を経営学者とは呼ばずに社会生態学者と評しています。ドラッカーの言葉をいくつか紹介しますと

◯学習を新しいことに対する一生涯にわたる冒険として、心から受け入れるように
◯企業の目的は顧客の創造である。したがって企業は2つのそして2つだけの基本的な機能を持つ。それがマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす、それ以外はすべてコストである。
◯個ではなく集団として知識労働者の生産性を高くするためには、彼らを単独ではなく、チームに取り入れることが必要になります。専門知識は単独では生産的でなく、他人の知識と統合されることで初めて有効に働くものだからです。