コミュニケーションとノイズ(その2)

2008/02/12 中嶋 秀隆

言葉のノイズ

ビジネス現場のやり取りは、PMBOKのモデル(前回参照)よりもはるかに複雑だ。そして、メッセージに作用するノイズは種類も多く、重層的である。
経済のグローバル化が進み、日本人ビジネスパーソンが外国人と一緒にプロジェクトを行う機会が以前より各段に増えてきた。それに伴って、日本人同士とは異なる新たなノイズの存在と作用が顕著になってきている。異文化のノイズとして、今回から3つのものを取り上げよう。
ひとつ目は「言葉のノイズ」だ。国際語として今日もっとも広く使われている言葉は、好むと好まざるとにかかわらず、英語である。わが国の英語のレベルは、お世辞にも立派とはいえない。このために、ビジネスでも、政治でも、文化活動においても、わが国は不利な立場におかれている。今日の世界のやり取りでは、基本構造の相当部分がアングロサクソンによってデザインされ、運営されているからだ。このことは、国際ビジネスの交渉にも、学者の論争にもあて

ははまる。英語力の増進をさらに進めることが強く望まれる。しかし、国際的プロジェクトの現場の経験に即していえば、おすすめしたい手っ取り早い方法がある。それは、自分
の英語に完璧を求めずに、多少ずうずうしくとも、英語で自己主張をすることである。日本人の感覚では「ちょっとおしゃべりにすぎる」ーーこれぐらいがちょうどよい。