コミュニケーションとノイズ(その1)

2008/01/15 中嶋 秀隆

「コミュニカーションって難しいね」――以前、渥美清がTVのCMで語っていたフレーズだ。PMBOKではこの難しさを「コミュニケーションの基本モデル」という二者のやり取りに、ノイズをからませて説明している。まず、二者のやり取りの流れは、
○コミュニケーションには、メッセージの送信者と受信者がいる
○コミュニケーションに適切な媒体を選ぶ
というところから始まる。そして、
○Aは送信者として、自分が伝えたい情報を他者が理解できる形に置き換える(コード化する)
○Aはコード化した情報をメッセージとしてBに送る
○Bはメッセージを受信し、意味のある形に戻す(コード化する)
○Bが今度は発信者として、自分が伝えたい情報を他者が理解できる形に置き換える(コード化する)
○Bがコード化した情報をメッセージのフィードバックとしてAに送る
○Aはメッセージを受信し、意味のある形に戻す(コード化する)
というものである。

しかし、現実には、AB間の単純な往復のやり取りにおいても、ノイズ(メッセージの伝達や理解を妨げる要素)が作用する。
その結果、上のやり取りには、以下の下線のようなノイズが作用する。
○Aは送信者として、自分が伝えたい情報を他者が理解できる形に置き換える(コード化する)○Aはコード化した情報をメッセージとしてBに送る
○Aから送られたメッセージがBに届くプロセスで、ノイズ(メッセージの伝達や理解を妨げる要素)が作用する
○Bはメッセージを受信し、意味のある形に戻す(コード化する)
○Bが今度は発信者として、自分が伝えたい情報を他者が理解できる形に置き換える(コード化する)
○Bがコード化した情報をメッセージのフィードバックとしてAに送る
○Bから送られたメッセージがAに届くプロセスで、ノイズ(メッセージの伝達や理解を妨げる要素)が作用する
○Aはメッセージを受信し、意味のある形に戻す(コード化する)

PMBOKではノイズの例として、「距離」をあげている。たしかに、AB間の距離が遠ければ、それだけメッセージの伝達や理解が難しくなる。しかし、ビジネス現場のやり取りはこれよりもはるかに複雑だ。そして、メッセージに作用するノイズは種類も多く、重層的である。次回は、海外を巻き込むプロジェクトに焦点をあて、ノイズとしての言葉の違いと、文化や価値観の違いについて見てみよう。