グローバル化とは?

2014/05/09 中 憲治

4 月の後半は、四国お遍路の仕上げとして、愛媛県内子から四国お遍路88カ所の最後の札所大窪寺までの約400kmの歩き遍路を行った。

このお遍路に出発する前に、ネットや新聞などで、お遍路に関するある記事が話題になった。四国88カ所のお遍路には「先達」と呼ばれている人がいる。 88カ所を4回以上巡礼した実績を持つ人の中から四国お遍路霊場会が認定する人たちである。
この先達に韓国人として初めて認定された女性が引き起こした事件(?)である。記事によると、この女性は、お遍路の道案内に、韓国人にとって分かりやすいようにとハングル語で書かれた道案内のステーカーを貼ったのだが、 これに対して、神聖なるお遍路道が外国人に穢されるとしてステッカーをはがし、代わりに神聖なるお遍路道を外国人に穢されるなといった文面の張り紙を貼っているとのことを報じている。

記事は、これには賛否両論の意見が寄せられているとのことも報じている。実際にお遍路道を歩いてみるとわかることだが、お遍路道には幾種類もの道案内のステッカーや看板が存在する。ほとんどは日本語で、 「同行二人お遍路道」の文字に方向を示す矢印付などのステッカーである(実物を幾つも写真にとってあるがこのエッセイに載せられない残念であるが)。 たまに英語版のステーカーもある(残念ながらハングル文字のものには出会わなかった)。歩きお遍路道はいくつかのルートがあり、かつ“旧お遍路道” ともなるとこれが本当に道?といったところも多い。このような道案内が必要なことはよくわかる(道案内があっても迷うことを何度も経験した)。 そして、大事なことは、この四国88カ所お遍路(歩き遍路)を行う人は日本人だけでなく、最近は外国人も大変多いことだ。

実際に、その過程で出会わなくても、お遍路宿の女将さんの話を聞くとそのことがよくわかる。そして外国人も国籍が多様なことも、 お遍路宿に残された記録帳を見れば歴然である。このことから感じることは、“必要なのはハングル文字のステッカーではないね”ということだ。 日本語、英語、スペイン語、ハングル、中国語(北京語と台北語)アラビア語、多様化したお遍路を行う人にマッチした言語を挙げると限りない。必要なのはその多くの人理解できる言語に頼らないグローバルな案内表示なのだろう。 「お遍路道を世界遺産に」との活動もあると聞いている。その是非は措いていても、そのために必要なことは数えきれない課題があるように感じている。 そのうちの一つが、誰にも、どこの国にとってもwわかりやすい道案内であることは明白である。サンチャゴ巡礼道の取り組みも参考になるだろう。