キックオフ・イベントのすすめ

2014/03/14 中嶋 秀隆

プロジェクトの立上げでは、スポンサーがチャーターを発行し、プロジェクト・マネジヤーを任命する。 それを受けて、プロジェクト・マネジャーはチームを編成し、プロジェクト目標の設定(文書化)にとりかかる。 私どもの研修「PM 標準 10 のステップ」ではこのように紹介している。PMBOKR 第5版でも「4.2 プロジェクトマネジメント計画書作成」プロセスで、 「プロジェクト憲章」などをインプットとし、「専門家の判断」と「ファシリテーション技法」をツールと技法として活用し、 アウトプットの「プロジェクトマネジメント計画書」を生み出す、とある。 ここでおすすめしたいのが、プロジェクト・チームとスポンサーが一堂に会してキックオフ・イベントをすることだ。 プロジェクト・スポンサーは自分の想いをチャーターに文書化するが、それがどれだけ現場にフィットするかについては心もとないこともある。 現場のことはチーム・メンバーのほうがより的確に把握しているからだ。一方、メンバーの方も、チャーターに示される要求事項や期限、予算、 その他の制約条件や前提条件などにどれだけの柔軟性があるかはせひ知っておきたところだ。この辺りをステークホルダーとメンバーの間でしっかり“すり合わせ”する場が、キックオフ・イベントである。

私どもがコンサルを手がけるある顧客で、これを上手にやっているケースがある。そこでは、チャーターが発行されたら、プロジェクト・メンバーが集まり、 チャーターの内容を咀嚼し、さらに、スポンサーに確認したいポイントにつき簡潔に問いを立てる。そして、プロジェクト・ チームとスポンサーが一堂に会してキックオフ会議を2時間ほどもつ。その場で、チームは用意した疑問点につきスポンサーからすべて答えてもらい、 スポンサーはプロジェクトの重要性や位置づけ、さらなる背景説明などを付け加える。そして、チームへの期待(成功判断基準)を明確に伝え、やる気を鼓舞するわけだ。

それを踏まえて、チームはプロジェクト目標を文書で練り上げ、再度、スポンサーに説明(プレセンテーション)して、合意を取りつけている。

物事は最初が肝心というが、プロジェクトでも初動が大切だ。プロジェクト成功のために、スポンサーとチームが行う最初の共同作業がキックオフ会議である。 そこに、ちょっとしたセレモニー(懇親会など)で味つけをするのもよいだろう。

以上