オレンジのランニングシューズ

2012/01/31 中 憲治

新しいランニングシューズを買った。「リーボックZIGTECH」ソールがオレンジ色の兎に角目立つやつである。この一品は、「反則シューズ」とも呼ばれていると、店員さんのセールストークにあった。「このシューズを履けば、20 秒/㌔速くなるのです。ですから大会によっては反則シューズとして使用禁止されているのです。」との説明だった。ソールの形状がユニークで、反発係数がいかにも高そうである。もっとも「反則シューズ」の命名はリーボックが考案したことで、「販促」と架けているようだ。「私は、スピードが速くなることは求めていない、長い時間走っても疲れにくいのがほしい」の求めに店員曰く、「実はこのシューズはLSD用に開発されたものなのです。ソールの反発係数が高いため足の疲労度が少なくて済むのです」とのたまった。LSDとはLong,Slow、Distanceの略で長く、ゆっくりと距離をできるだけ遠くまで走る練習法である(決して薬は使いません)。LSD向けに開発されたものなら私のスコープにぴったりだと、その一言で即購入を意志決定した。

靴を買う時も制約条件があり、制約条件の中にも優先順位がある。今回の制約条件は、価格、スコープとしての品質と、新奇性の3つである。価格は 1 万円以内、これは絶対条件とした。新奇性のあるものを選ぶならリスクも大きい、使ってみてダメなら早くあきらめられる価格であること。それが 1 万円以内の理由である。実際、靴には当たり外れ(自分の足に合っているかどうか)がある。新奇性のものであれば特にそれが大きい。よって価格は優先順位 1 位。品質は、ウルトラマラソンに使っても疲れにくい。この評価判定は難しいので優先順位は第 3 位とした。新奇性については、目立つもの(デザイン、色が重要)、誰でもが履いているものではないもの、そして今までに履いていないもので気分を心機一転出来るもの。ランニングシューズは 7 年前に足の踵を怪我してから後は、ほとんどブルックスとニューバランスを使ってきた。7 回忌を機に心機一転新しいものにチャレンジすることを重視し、優先順位 2 位とした。「リーボックZIGTECH」と決めたものの、一番悩んだのが色の決定だった。レッド、オレンジ、ブルー、グリーンの 4 色からどれを選ぶか、色に優先順位をつけることを考えていなく、かつまた優先順位の理由が考えられなくて悩んでしまう破目に陥った。赤は還暦で使っており、アフター還暦にふさわしい明るい気持ちになる、その結果がオレンジとした。店員さんのトークは、「赤はどんなウエアーにでも合いますよ。」だった。

多くの人は、ランニングシューズの色の決定基準は、ウエアーと合うかどうかのようである。ちょっとした買い物でも、選択決定の評価基準と優先順位付けができていないと不必要に時間を使ってしまうことになりそうだ。もっとも妻によれば、買い物はあれこれ悩むのが楽しみなのだとか。それにつき合っている人のことも考える必要もあるのだけどなと、声には出せず心の中でつぶやいてみた。