「形容矛盾」みたび

2019/10/15 中嶋 秀隆

 昨年6月と今年1月のエッセーで「形容矛盾」について触れた。
 ごく最近、フィラデルフィアでPMIのイベント(創立50周年と含む)に参加し、PMI本部のメンバーと打ち合わせの機会をもった。
 打ち合わせの皮切りに雰囲気を和らげようと、前日に行ったレストランのことを話した。“Jumbo Shrimp”がメニューに載っていたのである。直訳すれは「巨大な小エビ」。米国の国民的「形容矛盾」である。
 フィラデルフィアの印象を聞かれて、私は「小ぢんまりした大都会ですね」と答えた。フィラデルフィアは、米国発祥の地といってよく、自由の鐘や独立宣言の町であるが、そうした記念のものは市の中心にまとまっている。大きな町であることに違いはないが、ニューヨークやロンドン、東京ほどの規模ではない。それを「小ぢんまりした大都会」(small-size metropolis)と表現したのであるが、発言のあと、これもひとつの「形容矛盾」であることに気づいた。