マーケティング・アイ

2006/05/17 香月 秀文

人間の五感の情報収集力という調査がありますが、その調査によりますと 目から72%、耳から13%、鼻から6%、舌から6%、手から3%と言われています。圧倒的な情報が目から入ってくる訳です。ですからどのような目を持っているかということは、ビジネスの意思決定をするうえで大切なことになります。それを別名、視点と言っています。
市場を捉える目を養うことが必要です。例えば一つの事象を捉えて、その事をどのように解釈するかということです。
Positiveに捉えるか、Negativeに捉えるか、捉え方によって実施すべきActionが違ってきます。ビジネスにおいてはどちらのデシジョンが100%正しくて、どちらのデシジョンが100%間違っているということはなくて、どちらにもリスクはあり、機会があるということです。マーケティングの場合多面思考ということで、物事を多面的に捉えて判断することが必要です。しかしActionを起こすときは、その中のどちらから見た面をベースに行動を起こすということになります。多面のままですと、どの方向に進むか決定することがなかなか定まりません。
多面的にいろいろな情報、可能性を検討しActionに落とし込むためには、方向性を決定する必要があります。
その一面を選択するために、必要なのがマーケティング・アイということです。そして一面を選択するということは、仮説の構築ということになります。ビジネスをすすめてゆくうえで重要なスキルとして仮説設定能力ということになります。ではどうやってマーケティング・アイを磨くか?これは感性を磨くということになります。ではどうやって感性を磨くか。いくつかの方法が考えられます。
一つ目は「本物に触れること」これはたくさん触れれば触れるほど体内に蓄積していきます。自分では気がつきませんがあるレベルを超えると外に出てくるようになります。

マーケティングでよく使われる分布図で顧客の分類がありますが、その中で注目されるのがオピニオン・リーダーといわれている人たちです。オピニオン・リーダーが動くとマーケットは急激に成長し始めます。実はオピニオン・リーダーの前に新しい動きを感じて動く人たちがいます、このひとたちはイノベーターと呼ばれています。もっとも最先端にいる人たちです。この人たちの多くは芸術家と言われている人たちです。この人たちはまだ一般の人たちに見えないものを見て動き出す人たちです。最初のうちは変人扱いをされることもあります。脱常識で行動するわけですから。ひっくり返して考えると パラダイム・シフトとつながる部分も考えられます。
二つ目は「感動する」ということです。英語にするとMoveということになります。
特に小さなことにも感動するということは 感受性を豊かにし、また今注目されているアンチ・エージングにも効果があると言われています。感動することにより人間のひとつひとつの細胞が活性化すると思われます。そして人間としての神経感覚が鋭くなるということです。これがもっとも強いのが芸術家であり子供と言えます。ビジネスにおいてもマーケットを捉える鋭い目が必要です。競合よりも早く、また競合には見えていない段階で事象を捉える目が必要です。
三つ目は「自分の目で確かめる」ということです。別名、現場に行って自分の目で確かめるということです。これは仮説の検証ということになります。このときに必要な考え方はロジカルということになります。溢れる情報を冷静に分析する能力です。また市場を見るときに大切なことは 自分の願望やバイアスを交えずに 市場の声を無心に聞く、これをナイーブ・リスニングと言います。これがなかなかむずかしく人間はついつい自分の願望や都合のいいように解釈して後で大きな間違いだったと気がつきます。
ちょうど人間の目(視点)も右脳と左脳のようにバランスを保つことが大切です。右脳だけに頼ることは出来ませんし、また左脳だけに依存するわけにいきません。マーケティング・アイを身につけるためには、感性とロジックが必要です。ゴールドラット博士はこの感性のところを直感に基づいて検証すると言っています。