男のロマンを満たしてくれた私の会心のプロジェクト
- 日付:2006/1/25
- 名前:技術士(経営工学) 石倉 政幸
もう25年前にもなるが、私が始めてプロマネを勤めたインドネシヤ・スマトラ島北部アチェ州でのアルンLNGプラント建設プロジェクトは、受注金額が1,000億円を越える当時でも超大型のプロジェクトあった。今でも思い出すのは、プロマネ兼現場所長としてピーク時には5,400人の建設工事スタッフを指揮し、アチェ州のジャングルでの33ヶ月間の任務で巨大なプラントを無事完工させて帰国に着いた時の、涙がよぎるほどの充実感・満足感である。
このプロジェクトを1981年に受注するまでに、私は、千代田のセールスエンジニアとして、1年9ヶ月の間ジャカルタで、国営石油公社であるプルタミナのプロジェクトチィームに張り付いて、プロジェクト情報の収集、客先のプロジェクトの課題、技術問題の調査、結果の提案など、会社は受注活動に多大な労力と時間を賭けて来た。幸いその努力が実って、プロジェクトを受注出来、最終的に私がそのプロジェクトのプロマネを努めることとなった。どのプロジェクトでもそうであるが、プロジェクト遂行中、様々な問題に遭遇する。例えば、アチェ州でのイスラム教徒の民族紛争で、工事現場周囲の港町や集落での焼き討ち事件による騒乱、現地通貨の大幅下落、交通事故による千代田社員の死亡、労務者のストライキなどなど、毎日がいわば戦争状態である。
当プロジェクトは品質・予算・納期共々に、契約以上の成果を収め、顧客や関係者の大きな満足を得ることが出来た。そして日本の電力・ガス会社に、クリーンエネルギーを供給し、発電、都市ガスを供給するという大きなプログラムの中で、納期や品質、安定運転など、他の関連プロジェクトとの調和の元に遂行・完成された事によって、インドネシヤの社会的,経済的基盤の発展に大きく寄与することも出来た。そして結果として私が所属した千代田の企業の理念でもある,「エンジニアリングとプロジェクトマネジメントを通じて広く社会に貢献」する事が出来た。ましてや、様々な技術的な改良提案が設計に盛り込まれ、それが現実のプラントして建ち上がり、稼動する姿を目の前にすると、其れまでの様々な苦労が吹っ飛んで昇華してしまい、楽しい思い出として何時までも残る。後輩たちに常々、「プロジェクトこれぞ男のロマン」、と言い伝えているのである。
その後私は、同種のLNGプラント建設プロジェクト8件などを含め、多くのプロジェクトにかかわってきたが、私のプロマネの原点はこのアルンLNG 建設プロジェクトにある。このプロジェクトの経験が元となり、特に13年前に受注したカタールLNGプロジェクトでは、米国プロジェクトマネジメント協会から、“1999年プロジェクト・オブ・ザ・イヤー賞”を、北米以外のプロジェクトとして初めて受賞という快挙に繋がった。アルンLNGプロジェクトは、私が生涯忘れることの出来ない男のロマンを満たしてくれた会心のプロジェクトなのである。

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